私の前を、杖をつきながら横断歩道を渡っているおじいさんがいました。
それはお年寄りだから杖をついているのではなくて、目が見えない方でした。
ちょうどその先は、建設中の建物があって前には進めないようになっていました。
その方はまっすぐ歩かれて、工事中の仕切に当たりそうになりました。


ここは工事中で歩けないので、こっちを通りましょう。
道路を通らないといけないので、危ないですよ。
私が手を引きますから。
もうこの先は、当分真っ直ぐで大丈夫ですよ。
あぁ、ありがとうございます。


そのあと、目を閉じてみました。
怖くて歩けません。見えないことは、ものすごい恐怖ですね。
今の自分が特に不自由なく過ごせているのは、誰のおかげでしょうか。
自分がそうしてきたのではなく、守られてきたから安心して暮らせているのでしょう。


人はいつどんな困難に遭遇するかわかりません。
困っている人にすっと差し伸べられる手と心を持って生きたいと思います。
お互い様なのです。単純に、助け合えたらもっと住みやすいと思うのです。